みなさんこんにちは、ライターのQuattroです。
ゴルファーのみなさん、体の“痛いところ”ありませんか?
自らも含め、私の知る限りでは体のどこにも痛みを抱えていないゴルファーはほとんどと言っていいほど存在しません。
(特に一定の年齢を過ぎると……)
みなさんどこかしらに痛みや小さな故障を抱えながら、それでも大好きなゴルフに励んでいます。
ゴルフは長期間に渡りプレーを楽しむことができる稀有なスポーツです。
とはいえ、年齢を重ねれば重ねるほど故障のリスクは増えていきます。長く“現役選手”でいられるスポーツであるからこそ、これらのリスクを軽減すべく体のケアやメンテナンスが重要となってくるのです。
本稿では千葉県千葉市にある「あろは整骨院」の院長であり、プロ・アマ問わず多くの運動選手のケアをしてきた小柳伸行先生にインタビューを敢行!
ゴルフの競技特性から考えられる故障リスクが高い部位やその原因、そしてケガをしないために重要な予防策などを伺ってきましたので、ぜひ最後までご覧ください。
Quattro(以下“Q”):まず競技特性も踏まえ、ゴルフでは体のどの部分に負荷がかかりやすいのでしょうか。
小柳院長(以下“小柳”): ゴルフの運動的な特徴としては「回転」と「一側性」の動きであるということがキーワードになると思います。まず「回転」に関しては「過回転」、つまり「回転のし過ぎ」が故障の原因となります。具体的なパーツで言うと、「肩・腰」などです。体の可動域以上に大きなトップを作ろうとしたりすると、負荷が大きくなってしまいますね。
加えて、回転を“止める”動きも体に大きな負荷がかかりやすいです。トップから切り返す際の“腰”、インパクトで一瞬体の動きを止める際の“膝”、そして最後にフィニッシュで動きを制止する際の“足首”などが典型的な例として挙げられるでしょう。
また「一側性の動き」についてですが、「一側性の動き」とは“片方(に偏った)の動き”を意味します。マラソンなどの走る系の競技は左右対称の動きをしますし、バスケットボールやサッカーなども利き手・利き足はあるにせよ、左右関係なく体を使ってパスを出し、シュートも打ちます。
対して、ゴルフは右利きであれば基本的に自分の右側にテークバックして左側に向かって振っていくという動き“しか”しません。このような競技の場合、体に対する負荷や筋肉量が左右で大きく差が出てしまうため、体としてのバランスを崩しやすくこれも故障の原因となります。
Q:上記のような負荷のかかり方の特性をふまえ、怪我を予防するためのトレーニングやケアの方法などはありますか。
小柳:第一に考えられるのは「体幹の強化」ですね。関節周りの筋肉が強化されれば、その関節を保護し負荷を軽減することに繋がりますので、かなりケガ予防効果は高いと考えられます。
また、体幹を強化することは運動(スイング)の際に体のバランスを保つ力を上げることにもつながります。結果的にスムーズにスイングすることができるようになり、いわゆる「誤魔化す」動きが少なる。誤魔化す動きというのは大概が体へ無理な負荷をかけていますので、この動きをなくせるというのもケガ防止の意味では重要ですね。
第二は「柔軟性のアップ」です。関節周りの筋肉を柔らかくしてあげることで関節の可動域が広がり、無理なく「大きなスイング」ができるようになります。無理したら「過回転」になります(笑)
ストレッチの方法に関しては、あまり細かいことは考えずに「とにかく動かす」ということが大切。常に動かしておけば、その箇所の筋肉は自然と柔らかくなっていきますからね。肩・股関節などを日常から積極的に動かしていきましょう。
また、一側性競技特有の“偏り”を解消するため、練習場でボールをたくさん打ったあとは必ず「逆スイング(右打ちの方ならば左打ち)」の素振りを取り入れることをおススメします。
Q:ちなみに男性と女性でケガのしやすい部分が変わったりするのでしょうか。
小柳:基本的に女性のほうが筋肉は柔らかいため、関節的には過回転になりやすいです。そのため、人によってはよりコンパクトなスイングを意識したほうがケガのリスクは抑えられる可能性があります。また、筋肉量が少ない女性についてはクラブのスペック選びを間違えてしまうと、関節と筋肉への負荷が大きくなりケガへつながってしまいますので、こちらにも注意が必要です。代表的な例としては、女性ゴルファーは手首や腰を痛めてしまう方が多い印象ですね。
Q:体感トレーニングやストレッチをしっかり行っていても、どうしても痛みが出てしまいやすいケースもあると思います。そのような場合はどうしたらよいでしょうか。
小柳:その場合は信頼できる整骨院や整形外科で早めに診てもらうようにしてください。痛みをかばおうとしたままスイングをすると、他の部位に負荷が偏り、その部位をさらに痛めてしまうというケースも考えられます。
特にゴルフはスイングの際に使う関節の多い競技ですので、連鎖的に多くの関節を痛めてしまうととても厄介です。早めに治療やケアをすることで、ケガを悪化させずにプレーを続けられる可能性が高まりますので、放っておくことは絶対に避けてくださいね。
本稿では「あろは整骨院」の小柳院長にゴルファーが痛めやすい体の箇所からその予防法まで、詳しくお伺いをしていきました。
ゴルフは競技寿命が長いため、その競技人生の前半と後半では体の状態もかなり変わってきます。
(平たく言えば「歳を取るにつれて体が変わる」ということです)
ゴルフ特有の動きからくる負荷の特徴を理解し、しっかりと予防策を取っていくことで、痛みを最大限に軽減しながらゴルフを楽しみたいですよね。
さて、私もストレッチと左打ち素振りがーんばろ!
・あろは整骨院
住所:〒260-0815千葉市中央区今井町1490-8
TEL:043-308-5937
院長:小柳 伸行
公式instagram:https://www.instagram.com/aloha.seikotsuin/
※上記内容はあくまでも小柳氏の見解であり、その他専門家ごとに異なった見解があることにもご留意ください。
文: ライター Quattro