設計家というのはまさに縁の下の力持ち。
『大久保昌』と聞いても正直わかる方はそれほど多くはいないでしょう。
日本を代表するゴルフコースを設計してきた井上誠一氏を25年間師事し、グリーンキーパーから始まったその人生を今回は覗いていきます。
大久保氏と井上氏の出会いは、埼玉県の朝霞キャンプドレイク(アメリカ軍基地)にあったゴルフコース。
当時の大久保氏は近隣のコースにも知れ渡るほどのグリーンキーパーだった。
そして、朝霞にいた井上氏に認められ、今では井上氏の傑作ともいわれる『龍ヶ崎カントリー倶楽部』の設計・造成にシェーパーとして立ち会いました。
それが井上誠一氏との出会いであり、設計家・大久保昌の始まりでした。
※ シェーパー:建設機械の造形仕上げ工程を担当する技術者
(写真は龍ヶ崎カントリー倶楽部)
1973年開業の日本海カントリークラブは高い評判をうけた。師匠・井上誠一氏の創り上げた大洗ゴルフ倶楽部に匹敵するほどのものとなり、東の大洗、西の日本海とも呼ばれるほど今でも愛され続けています。
日本海カントリークラブHP: http://www.nihonkai-cc.com/
ドローンでの空撮映像。
大久保昌氏設計のコースは東日本のゴルフ場が多く、景観美と戦略性に富んでいることが特徴です。
以前ご紹介させていただいた
東武藤が丘カントリークラブをはじめ、
〇コート旭川カントリークラブ
〇セントラルGC麻生コース
〇Royal Blue Golf Resort
〇成田の森カントリークラブ
〇白鳳カントリークラブ
〇磯子カンツリークラブ
〇フォレスト鳴沢ゴルフ&CC
〇満濃ヒルズカントリークラブ
〇オーシャンキャッスルCC
(写真は白鳳カントリークラブ)
などなど、ご紹介しきれぬほど北海道から沖縄までたくさんのゴルフコースを手がけてきています。
そんな大久保氏は井上氏の弟子ということもあり、井上氏が担当したゴルフコースの改造を大久保氏が担当することもあったようです。
代表的なのはやはり大洗ゴルフ倶楽部。
大洗ゴルフ倶楽部といえば『黒松』。
地元民との約束で、魚のためにも海岸の砂丘と黒松はできるだけ残す決め作られた設計は、今も尚変わることなく残っています。
大洗ゴルフ倶楽部HP: http://www.oarai-golf-club.co.jp/
平成3年2月、ベントと高麗のコンビネーションワングリーンは、大久保氏の手でオールベントのワングリーンとなり、平成10年10月には、第63回日本オープンが開催され、人々の記憶に残る4日間の平均ストローク75・16という難コースを実現させました。
第63回日本オープンゴルフ選手権競技
http://www.jga.or.jp/jga/jsp/1998/08-0/top.html
ゴルフコースが存在するのは、コースを設計する方がいて、それを実現させる人達がいます。そして、そのゴルフコースを変わることなく守り続けるキーパーがいます。
大久保氏は学生時代園芸学部で得た芝の知識と、グリーンキーパーという職の仕事を活かし、守り続けるということも考えたゴルフコース設計をされるのでは無いかと感じます。そこには大久保氏の人柄の良さも伺えます。
とはいえ、大久保氏設計のコースは幾つかラウンドしましたが、そう簡単に攻略できるほど甘くはありませんでした。
ただ大久保氏のゴルフコースは、何とも言えない景観美と大久保氏ならではの戦略性に圧倒されること、そしてもっともっとゴルフが好きになること、間違いありません。
設計家・大久保昌氏の手掛けたゴルフコースに是非足を運んでみてはいかがでしょうか。
過去の記事「東武藤が丘カントリークラブにいってきました!」
URL: https://www.golfista-fs.com/blog/2021/01/15/1-82/
文:ライター 和奏