世の中にゴルフ漫画は沢山ありますが、中でも強烈なインパクトで迫ってくるのは、藤子不二雄?先生の『プロゴルファー猿』ではないでしょうか。今でも熱心なファンが多いその大きな理由の1つは、漫画に登場する数々のスーパーショットの魅力があるからと言っても過言ではありません。
その中でも、最もポピュラーなのは、「旗つつみ」という必殺技です。「旗つつみ」は、ボールをなびいている旗に当て、そのまま真下に落としてカップインする技。『プロゴルファー猿』を知っているゴルファーなら、試すとまではいかなくても、可能かどうか一度は想像したことがあるはず。
刻一刻と変わる自然条件の中でプレーするゴルフで、旗包みは果たして実現可能なのでしょうか。それとも、やはり漫画やゲームなど非現実世界だけの産物?
実はこれ、ゴルフ界の大御所、青木功プロもあるテレビ番組で取り組んでおられました。意気揚々と漫画の中で主人公猿丸が打つ代表的なショットを幾つか再現され、「さすが青木プロ」と番組を見た藤子先生も大絶賛でした。が、その実力をもってしても、旗つつみだけは、成功しなかったのです。風が読めず、旗に当てるだけでも結構な難易度だったようで、終了後に「この技は実現不可能だ」と仰っておられました。そして、多くの方が同意見で、風を調節するなどの特殊な環境でない限り不可能だと主張しています。
ところが、作者の藤子不二雄先生は可能だと主張しています。その証拠に、彼はあるイベントで、「旗つつみを試しましたが、あれは実現不可能ですね。」と話した女子プロゴルファーに、「この技は、ボールを旗に当てるだけでなく、まきこむように打つのですよ。」と丁寧にレクチャーされています。
藤子先生が、旗つつみが可能だと信じる理由は、ご自身の体験にあります。プライベートでゴルフをしている時、打った球がなびく旗に当たり、くるくると包まれ、そのまま真下にと落ちるというまさに旗つつみを実現していたのです。カップインこそ叶わなかったものの、この一打が猿の必殺ショット「旗つつみ」を生み出しました。
そしてもう1つ、実現の可能性を示唆する一打が存在しています。2010年のフジサンケイクラシックでのこと。石川遼プロに惜しくも敗れた薗田峻輔プロは、18番ホールでギャラリーを大きく湧かました。勝負所でミスショットをしてしまったのですが、そのラフからの4打目がふわりと舞い上がり、風になびいていた旗に当たってボールはピン根元へ。このショットは「旗つつみだ!」と実況され、後日ちょっとしたニュースにもなりました。そして、これが決定打となって、プレーオフに持ち込めたのです。
藤子先生と薗田プロの偶然のショットは、上手くいけば本当に旗に当ててカップインできるのではないかという希望を持たせてくれます。少なくとも、何らかの条件が揃えば、旗に当たったボールはピン根元へと落ちるのです。今の所、かなり稀ですが、時代が進み、不安定な自然条件を確実に読むことが出来る日が来れば、狙って打てる日が本当に来るかもしれません。普通のプレーに飽きてしまった方、是非「旗つつみ」を狙ってみて下さいね!成功をお祈りしております!
ALBA.Netのゴルフニュース
http://www.alba.co.jp/tour/news/article/no=13013